第4次産業革命は、AIでもIoTでもなく、分散アプリケーション

 

第4次産業革命、という言葉が当たり前のように使われるようになってきました。
まだ起こっていないのに、第4次産業革命はこうだ!という主張というか宣伝が繰り広げられています。

そういえば、〇〇 2.0とか、4.0などのバージョン番号を付けたものは、更に多くのものが出回っていますね。
そろそろ、逆にカッコ悪いと思えるくらいに普及しています。

ホニャララ2.0のほうは置いておいて、第4次産業革命のほうは、世界中の大企業が真剣に取り組んでおります。
基本的には、2045年ごろに訪れるといわれるシンギュラリティを目指して、AIがそのキーとなる技術だ、ということで、大量の資本や優秀な人材が投入されている、というのが今の状況だと思います。

 

ただ、私は、AIが第4次産業革命のキーとなる、とは思えないのです。

 

AIにしてもIoTにしても、素晴らしい可能性のある技術ですが、基本は「自動化」がその本質です。
情報化による効率化、は第3次産業革命です。
更にそれを強化するものではあると思うのですが、「革命」と呼ぶほどのパラダイムシフトを起こすものとは思えません。
自動化の究極系、第3次産業革命の最終局面、という捉え方のほうが正しいように思います。

弊社でもAIを利用した新規事業の立ち上げ支援、などの仕事をしておりますが、AIが自動化以上の価値(=人間を超える=シンギュラリティ)を生み出すのは、まだまだ先のことと感じます。
特定の分野でのシンギュラリティは達成されるのでしょうが、運営、判断、経験、予測など、教師データとして十分な量の正解を与えることができない、ルール化の困難な分野については、シンギュラリティを迎えるのはずっと先になりそうです。

 

産業革命=パラダイムシフトとするならば、分散アプリケーションに魅力を感じます。

分散アプリケーションの現在の定義は、以下のようなもの、と言われています。

①アプリケーションがオープンソースである
アプリケーションがオープンソースであること。
またオペレーションは自動であり、中央のコントロール主体を持たない。
トークン、データ、レコードなどにつき、暗号化されて分散化されたブロックチェーンを利用している。

②トークンを利用している
アプリケーションはオープンに流通可能な暗号トークンを持ち、アプリケーション利用の際にトークンを利用すること。
参加者にはそのトークンによって報酬が支払われること。

③ユーザーの合意のもとでの改善
アプリケーションはマーケットやユーザーからの改善要求によりプロトコルを改善していくこと。この改善はユーザーのコンセンサスによること。

技術的にはそうなのでしょうが、私が可能性を感じているのは、分散アプリケーションが結果として生み出すサービスの形(分散サービス・分散取引)のほうです。

 

現在は、プラットフォーム隆盛の時代です。

Amazon、Google、Alibaba、Facebook、日本ではメルカリや楽天もそうでしょうか。
スタートアップと言えば、何かのプラットフォームとなる、というのが定番です。
でも、良く考えてみれば、業態としては、「情報の卸業」です。

プラットフォームの価値はもちろんありますが、価値の生産者でも価値の消費者でもないのに、仲立ちをするだけにしては莫大に儲けて、市場を独占していますね。
(Amazonが既存の本の卸業を破壊する、なんて記事を見かけても、「いやいや、ITで効率が良いだけで、Amazonも卸業じゃん!」などとツッコミたくなります。)

 

これらのプラットフォーマーが独占市場を失うパラダイムシフトを起こすものとして、分散サービスの可能性に期待しています。
価値の生産者は、プラットフォームに依存することなく、どこかに出品(またはつぶやきなどのコンテンツを掲載)すれば、世界中の(他のサービスやプラットフォームを使っている)消費者に届き、お互いが異なる決済方法を使っていても簡単に決済できて、流通プラットフォームに依存することなく、デリバリーできる、という世界です。

流通で言えば、楽天に出品しても、Amazonに出品しても、メルカリに出品しても、世界中の消費者が、彼らの使う別のサービスから、お買い物ができる、と言えば分かりやすいでしょうか。

 

価値の生産者と価値の消費者のプレゼンスが高まり、中間層の独占が失われる、そういう可能性が高いと予想して、価値の生産者を支援していきたいと思います。

 

ちなみに、今の時点で、通常の中小企業が、ブロックチェーンを含む分散アプリケーションに取り組む必要はほとんどありません。

そういう時代に備えて、社内の自動化・ネット社会への対応を進めるべきです。
分散サービスの世界になっても、ならなくても、まずは基盤・基礎として整備が必要ですから。

 

【2018/10/13 追記】

アメリカでは既に、同じ狙いのサービスが始まっていました。情報不足でした。

Originのブロックチェーンによるマーケットプレース、UberやAirbnbのような中間搾取をなくせるかhttps://jp.techcrunch.com/2018/10/11/2018-10-10-origin-protocol

Origin Protocol
https://www.originprotocol.com

このような非集権的マーケットプレースを構築することによって、マーケットプレースをpeer-to-corporate-monopoly-to-peer(ピア・ツー・独占企業・ツー・ピア)ではなく、本当のpeer-to-peer(ピア・ツー・ピア)にしたい

いい言葉ですね(笑)全く同感です。
私の周りに本記事の将来像を話しても、誰も信じてもらえませんが、peer-to-corporate-monopoly-to-peerなら、ちょっと信じてくれる人が出てきそうです。
これからこの表現、使わさせてもらいます。

ただし、これの本質から言って、マネタイズはあまりできないハズなので、起業で儲けようとしている人達には魅力は無いのかもしれませんが・・・

 

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