発注側にとってのITプロジェクトマネジメントの全体像
ITプロジェクトマネジメントとは
「過去の経緯を把握し、未来の予測とリスクから、現在のアクションを決定すること」
と、弊社では定義しています。
経緯 起こったことでなく、起こった理由・事情
予測 こうあるべき、こうなるだろうという見通し
リスク いわゆる落とし穴
6つのマネジメント領域それぞれに対して、
・過去の経緯を把握・咀嚼し、それを踏まえ今後起こりうるであろう状況や達成したい状況を予測(想定)し
・これまでの経験等を踏まえ、今後のリスクを見通した上で
・現在の課題への対処や、(課題となる前に)積極的にアクションを取ること
が、マネジメントの全てです。
事業スキーム(調達・契約方法)によるマネジメントの違い
通常のITプロジェクト(委託型)と、弊社で推奨しているサービス調達型のプロジェクトとでは、発注者側・受託者側それぞれの役割・リスク分担が根本的に異なるため、マネジメントの手法や質も根本的に異なります。
■委託型プロジェクトの場合
発注者側が、個別の物品や役務を(契約上)バラバラに調達する事業スキームになります。つまり、システムをサービスとして完成させ、エンドユーザに提供する責務は発注者側が負うことになります。
(この契約上の本質を忘れてしまっているユーザやベンダーが多いのは事実ですが・・・)
従って、調達する物品や役務以外のコンサルティング活動やマネジメント活動は、全て発注者側が実施することになり、発注者側の情報部門は「ITのプロフェッショナル」であることが求められる、ということになります。
■サービス調達型(アウトソーシング)プロジェクトの場合
発注者側は、事業者から完成されたサービスを受け取り・利用する事業スキームになります。サービスとしてのアウトプットは、事業者が責任を持つため、どのような物品や役務が必要かは、受託側に任せられ、発注者側は、サービスとしてのアウトプットをチェックする立場になります。
(従って、サービス実現のために事業者側がどのような技術的手法を用いるかを、発注者側が指定することは原則できない、ということになります。やり方はお任せ、ということです。)
この場合、発注者側の情報部門は「マネジメントのプロフェッショナル」であることが求められます。
「受託者側=ITのプロ」という立場でアウトソーシングを行いますが、発注者側は、それを検証し、リスクをコントロールする、「マネジメントのプロ」でなければならない、ということになります。
ここで注意しなければならないのは、一般的に書籍などになって普及している(と思われる)プロジェクトマネジメント手法(PMBOK等)は、
事業者側の(6つの領域のうち、技術領域に限定した)プロジェクトマネジメント手法
だということです。
発注者側がサービス調達の事業スキームでマネジメントを行う場合には、マネジメントの立場も異なり、対象領域も全く異なる、ということに注意する必要があります。
サービス調達における、発注者側のマネジメントについては、「プロジェクトのフェーズによるマネジメントの違い」で、具体例を含めて解説していますので参考にしてみてください。