マイナンバーという壮絶な“無駄”

 

ファイル共有ソフトとして名高い(悪名もですが)、Winny作者の金子勇氏が死去、というニュースを目にしました。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130707/489562/?r_security

 

Winnyを作ったこと自体が違法だ!!

という無茶な理由で起訴されたことは記憶にある方は多いと思いますが、最終的に無罪が確定したことを記憶している方は少ないのではないでしょうか?

 

起訴されれば悪、もっと言えば、捜査されれば悪、という風潮を、捜査機関とタッグを組んで作り上げているマスコミはもっと悪、ですねΣ(゚д゚;)

 

 

 

 

ところで、マイナンバーって言葉は聞いたことがあると思いますが、

その中身はどのようなものかご存知でしょうか?

 

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」

というものですが、全ての行政手続きに用いるのではなく、社会保障と税のための番号制度です。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/

 

 

 

米国の社会保障番号と同じ仕組みは必要だと、個人的には思っていますが、

日本のマイナンバーのほうは、壮大な無駄がてんこ盛りです。

 

 

 

■無駄その1:超非効率なシステム

 

詳しくはこちらの記事を参照頂きたいのですが、

「マイナンバー、その「複雑さ」の真相」

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130514/476687/

 

「マイナンバーシステムを使って、個人の情報を検索できない」

「知りたい項目を1個づつ、何度も問い合わせる」

「情報がヒットしない場合、何故見つからないのかという理由は教えてもらえない」

「住基番号などの個人番号は教えない」

というような、およそシステム化の目的と逆行するような仕組みになっています。

 

これなら全国ネットワークシステムにしなくても一緒なのでは?

というレベルですね。

 

言ってみれば、各自治体に電話で問い合わせをするのと同じ手間を、システムで実現しているようなものです。

(恐らく、電話で問い合わせたときに得られる情報よりも、システムを用いたほうが少なくなってしまう雰囲気ですし・・・)

 

 

 

■無駄その2:縦割りネットワークがいっぱい!

 

マイナンバーは、その名前(本名)の通り、

「社会保障と税」のためのネットワークシステム、です。

 

マイナンバー以外にも、

住基ネットワーク

戸籍(法務省)ネットワーク

国保ネットワーク(ちょっと形態は違いますが)

など、国と自治体をつなぐ情報交換のネットワークシステムは幾つもあります。

 

これらは、業務(というか監督官庁)が違うだけで、要は、

「特定の個人が同じヒトかどうかを確かめる」

という本質的な利用目的は一緒です。

 

これらのネットワーク(業務)は相互に連携しませんので、

例えば、年金の調査で戸籍の情報が必要だとしても、マイナンバーシステムでは判らない(結局別の調査が必要)、

というような無駄が起きます。

 

 

これ、そもそもを言わせてもらえば、住基ネットを作ろうとしたときに、

「セキュリティがー!」「監視がー!」などと騒いだバカな方々が全ての無駄の根源です。

 

お蔭で現在の中途半端で無駄なネットワークが乱立する事態になっています。

(無駄その1の、複雑怪奇な仕組みも、これらの反対運動が影響していますしね。)

 

 

本来は、住基番号とそのネットワークに全て統合して、その代りセキュリティと運用監視に予算を向ければ良かったのです。

そのほうが遥かに効率的で、安上がりです。

 

そもそも現在だって、警察や裁判所は個人を捕捉することができる訳ですから、それを効率的にやるか、やらないか、だけの違いなんですけどね。

 

 

 

■無駄その3:高ーーい!!

 

国と自治体でシステム構築・改修に掛かる費用が3000億前後と予測されています。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130425/473721/?ST=govtech

 

高い理由は、その複雑怪奇な仕組みのお蔭でもあるのですが、実施時期(H28に利用開始)のほうに大きな問題があります。

 

早すぎるんです。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20121113/436765/?ST=govtech

 

 

自治体の基幹システムは、通常5年~10年のサイクルで再構築を行います。

マイナンバー制度の施行が再構築予定時期よりも後であれば、その自治体は、再構築時期に合わせ、マイナンバー対応の基幹システムを購入することで、予定外の出費を避けられます。

 

ですが、今回は、大半の自治体が、現在のシステムを改修しなければなりません。

私がお付き合いのある自治体でも、再構築予定時期よりも、マイナンバー開始時期のほうが2年早いので、数億円の改修費用を見込まなければなりません。

 

 

自治体のシステムのマネジメントを行っている者として断言できますが、

マイナンバーの開始時期を、3年~5年後ろにずらすことで、

間違いなく1000億~2000億は無駄な出費を抑えることができます。

 

縦割り&複雑怪奇なマイナンバー、

たった3年~5年前倒しで開始することで、1000億~2000億以上の効果を出すことができるんでしょうか??

 

 

100%無理ですねぇ。

 

 

 

そして、誰もこのことを指摘しないので、私が指摘してみました。