リスクと費用の分担がPJ検討の本質
情報化PJの関係者は、情報部門、現場、ITベンダーの3者(経営層を含む4者の場合もあり)に単純化して考えることができます。
つまり、情報化PJに関するリスクや費用は、結局この3者のいずれかが負担しなければなりません。これらの役割や責任を明確にすること、それがPJ検討の本質です。
技術は、ITベンダーのサポートなしには成立しない
クラウドやオープンソースなど、新たな技術をどのように採用するかを中心に検討する例がよく見られますが、業務システムには、ITベンダーのサポートが無ければ採用することができません。
また、パッケージのソースコードを保有していたとしても、他社のソースコードを解読してサポートしてくれるITベンダーなど殆どいません。他社のサーバをサポートしてくれるハードメーカもありません。
結局、何の技術を採用するかよりも、まず、どのパートナー候補となるITベンダーが何ができるかを考えなければならないということです。
採用技術の検討は本質ではありません。採用するITベンダーとのリスク分担・費用分担が重要です。
これまでの常識・慣行は不利
過去、大型汎用機の調達、保守、作業委託などを小さい範囲で実施してきたという経緯から、現在のシステム関連の商習慣が出来上がっています。それはつまり、発注側がほぼ全てのリスク・費用を背負うという契約になっているということです。
技術的なリスク、社会情勢の変化のリスクから、PJの運営失敗に関するリスクまで、ほぼ全てが発注側が負担する契約が一般的な契約とされています。(疑う方は一般的な契約書の条文を確認ください。)
ですが、現在の複雑化した情報化PJにおいて、これらのリスクのうち発注側が正確に予期したりコントロールできるものがどれだけあるでしょうか?
ITベンダーは情報化のプロフェッショナルであるのですから、これまでの常識や慣行に囚われず、適切なリスク・費用分担を新たに設計しなければなりません。