メリットゼロ、リスク極大なら、やることは一つ!?:マイナンバー

 

マイナンバーの適用が年明けに迫り、ある意味絶妙なタイミングで年金機構の個人情報流出事件が報道されたせいもあって、マイナンバーに関する様々な記事を見かけるようになりました。
情報提供ネットワークシステムを中心としたマイナンバーシステムや、自治体などのマイナンバー対応は進んでいますが、民間企業のマイナンバー対応はまだまだ、といった様子です。

マイナンバー政府予算は1100億円超、周知・広報の不足が落とし穴に
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/watcher/14/334361/012900173/

マイナンバー制度で3つの誤解が浮上、システム対応をやり直す危険性
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/14/346926/060300269/?mln

 

そもそもマイナンバーって何なの?
何をしなけりゃいけないの?
というところがはっきりとキャラ付けされてないのが、問題かとは思います。
マイナンバーのゆるキャラはいますが、そういう問題ではないですね(笑)

 

作った人が明かすマイナンバー プライバシー保護の勘所
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/052100128/?TOC=1

マイナンバーって何で、何をするのか、何をしなければいけないのか、は制度に関わった方が直接書いているだけあって、よくまとまっていると思います。
ただ、制度に関わった方であるからこそなのか、本質的な部分を避けているような・・・
マイナンバーのメリットと、行政改革のメリットを(わざと)ごちゃまぜにして書いてらっしゃいますね~

 

マイナンバーとは、「 社会保障と税のための番号制度 」と呼ばれていたくらいですので、要は、

「国税庁と社会保険庁のための制度」

と考えると、とっても判りやすくなります。

 

マイナンバーシステムの中核は、国と自治体などの各機関との情報提供ネットワークシステムですが、各団体間の情報連携は、もともと(紙・電話・個別システムなどで)やっていたものですので、このシステムが新たに入ったからといって、便利になる訳ではありません。
むしろ使い勝手としては不便になるくらいですし、莫大な費用が追加で掛かります。

税、料、資産とカネの流れを、同じ番号で名寄せして追いかけたい国にメリットがあるだけです。
国が効率的にカネを徴収するための仕組みです。

ちなみに地方税は?というと、自治体の方から、地方税の徴収でメリットがあるなど、聞いたことがありません(笑)

もちろんこれらのことは、法案が出てきたときから判り切っていることですが・・・

 

というわけで、民間企業にとってはメリットはゼロ。

ただし、個人情報よりも、マイナンバー(特定個人情報)の流出のほうが厳しく(法的にも社会的にも)罰せられることになりますので、事務やシステムの負担増と併せて、リスクは激増。

弊社でもマイナンバー関連のコンサルティングを提供していますが、正直、
メリットゼロで、リスク極大のマイナンバーは、「なるべく遠ざける、持たない」が正解です。

 

民間企業のマイナンバー対応については、ガイドラインが出ています。

特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(特定個人情報保護委員会)
http://www.ppc.go.jp/legal/policy/

が・・・
ここに書いてあることって、企業内である程度重要な情報への取り扱いとして、今までやってきたことと何ら変わりがありません。
ある程度対策を採っても、情報が流出することがあるのが通常のセキュリティリスクの想定です。
さらにコストを掛けて、メリットゼロ、リスク極大のものを社内に取り込むのが良い判断とは思えません。

 

マイナンバーは、国等の機関に提出する文書にしか登場しないのですから、

①外部のサービスに預けてしまって、文書作成のときに付与してもらう(アウトソーシングサービスの利用)

②マイナンバー抜きの文書を作成して、社員(など)に記載してもらう

とすれば、会社側でマイナンバーを一度も保有しなくて済みます。

①のアウトソーシングサービスは、早速発表したところがあるみたいですね。

弊社は小さい会社なので、②の方法を採るつもりです。

 

まあそもそも、「流出しては困るもの(マイナンバー)を広く全国に配布する」こと自体がすでに間違ってますよね(笑)
事故があるに決まってます。というか、それで事故が無いとか思ってる方の常識を疑いますが・・・

マイナンバーによる名寄せ・突合は国のため、国でしか必要ないのですから、
国でマイナンバーを一括管理して、企業にはマイナンバー突合用の符号だけ渡せば良いのです。
(企業コードとマイナンバーで生成する符号、というイメージです)

これなら流出しても、他の企業や個人は使えないので安心です。
私なら、流出を前提として、システムを考えますが、さて来年からどうなることでしょうね・・・

 

 

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